2017年05月31日

新幹線スピードアップ史は車両の歴史! 東海道・中央・山陽・九州新幹線の車両一覧【週刊新幹線3号】

毎週新幹線の過去を辿ってゆく【週刊新幹線】!3号となる今回は、新幹線の過去の歴史をたどる上で重要な新幹線車両の変遷について見ていく。

1. 車両の整理

新幹線の車両は大きく2つに分類される。1つは東海道・中央・山陽・九州新幹線用車両。もう1つは東北・上越・北陸・北海道新幹線用車両である。今回紹介する前者はさらに2つに細分でき、旧国鉄及びJR東海が導入した車両、JR西日本またはJR九州が独自に導入した車両の2つに大別することができる。今回はその2つに分けて紹介する。

1.1. 旧国鉄・JR東海が導入した車両

旧国鉄・JR東海が導入した車両は、純白の白3号地に青20号の帯をまとっているという共通点があり(0系新幹線のみクリーム10号地)、JR西日本による500系新幹線導入までは全ての帯色が統一されていた。またJR西日本が設計する車両はJR東海で導入されないものの、様々な力が作用することによりJR東海の設計した車両はJR西日本でも投入されていることから、正に「正統派新幹線」と言える系列と言えるのではないだろうか。

国鉄分割民営化時にJR東海には数多の0系新幹線と7編成の100系新幹線を継承したが、その後分割民営化後に導入した100系は多少仕様が変わっており、8号車の2階部分にグリーン座席車を導入しグリーン車を3両連結にしている。このことと普通車シートピッチ1040mm、先頭車の座席数(1号車13列65席、16号車15列75席)、偶数号車の座席数(普通車20列100席、10号車17列68席)は、この後JR東海が導入した300系、700系、N700系すべてに共通しており、JR東海発足から30年間守り続けている伝統と言っても過言ではないだろう。
(スマホ版は表を横スクロール可能)
車種運行線区編成両数製造年(量産編成のみ)運行終了年営業最高速度起動加速度ノーズ長普通車のシートピッチ備考
0系東海道・山陽新幹線12両・16両
→6両
1964年
~1973年
1992年210km/h
→220km/h
1.0km/h/s3.9m940mm
→980mm
3列シートは回転不可
0系東海道・山陽新幹線12両・16両
→6両・4両
1973年
~1986年
1999年 (東海道)
2008年 (山陽)
210km/h
→220km/h
1.2km/h/s3.9m940mm
→980mm
3列シートは回転不可
100系東海道・山陽新幹線16両(・12両)
→6両・4両
1986年
~1992年
2003年 (東海道)
2012年 (山陽)
220km/h1.6km/h/s4.8m1040mm2階建て車両2両連結
300系東海道・山陽新幹線16両1992年
~1998年 (JR東海)
1992年
~1993年 (JR西日本)
2012年270km/h1.6km/h/s6.0m1040mmトンネルドン対策未実施
700系東海道・山陽新幹線16両1999年
~2003年 (JR東海)
2001年
~2006年 (JR西日本)
2020年 (予定)270km/h (東海道)
285km/h (山陽)
2.0km/h/s9.2m1040mm2009年までATCの関係で東海道新幹線内起動加速度は1.6km/h/sだった
N700系東海道・山陽新幹線16両2007年
~2020年(予定)
廃止予定なし270km/h
→285km/h (東海道)
300km/h (山陽)
2.6km/h/s10.7m1040mm
(1号車と16号車は1023mm)
車体傾斜装置設置(1.0度)
車内全席禁煙のため喫煙スペース設置
N700S東海道・山陽新幹線16両
→12両・8両
2020年~(予定)廃止予定なし不明不明不明おそらく1040mm
L0系リニア中央新幹線16両2027年~(予定)廃止予定なし不明不明不明880mm(試作車)
※グリーン車のシートピッチは全車共通で1160mm

1.2. JR西日本・JR九州が独自に導入した車両

一方JR西日本は国鉄分割民営化時に0系新幹線の16両・12両・6両編成を継承したものの、線形の良く岡山~博多間がスラブ軌道の山陽新幹線では、東海道新幹線より速達性が保てるのではないかと考えられた。そこでJR東海の大衆化した新幹線とは一線を画す、スピード感が溢れかつ需要に見合った編成・車内の車両を独自に投入してきた。分割民営化当初は100N系や500系を導入することで東海道新幹線との直通列車に主眼を置き、500系新幹線に関してはJR東海に技術料を払わせて「のぞみ」のうち東京~博多間毎時1本を500系新幹線で統一させようともしたようだが、先頭車の座席数が合わないこと、シートピッチが20mm狭くなったこと、窓が曲面であり景色を楽しめないこと、編成価格が高価なことからJR東海から異端車扱いを受けあえなく破断。結果東海道新幹線直通向けには当時の東京~広島間「ひかり」用に共同開発を進めていた700系を導入することとなり、その後もJR東海と共通設計の車両のみを東海道新幹線直通用に充てている。

とはいえ、自社線内に完結する列車であればJR西日本は自由にに車両を投入することが可能な状況は変わらなかった。国鉄分割民営化後にはアコモディティ改善した0系「ウエストひかり」の導入、2000年には700系でも指定席2列&2列シート8両編成の「ひかりレールスター」、2011年の九州新幹線直通時にはN700系のマイナーチェンジ車(車体傾斜装置や中央締結ブレーキなどの一部省略など)の8両編成を「みずほ」「さくら」用に導入するなど、車両性能や内装でも独自色を出しているが、その他にも1997年から「のぞみ」は黄色「ひかり」は赤色「こだま」は青色という種別概念を車両帯色で刷新し、「のぞみ」500系は青色「ひかりレールスター」700系は黄色「こだま」0系・100系は緑色などの独自な設定を施すなど、東海道新幹線の単なる延長とは言わせないような独自色あふれる車両を多数導入していることには変わりはない。

またJR九州が独自に導入した800系新幹線もこちらの部類に入れるが、この車両も0系「ウエストひかり」譲りの自由席含め全車2列&2列シート、500系譲りの先頭車先頭寄りの客室扉設置なしなどの独自色を打ち出している。JR西日本の独自性があったからこそ導入できた車両と言っても過言ではないのかもしれない。
(スマホ版は表を横スクロール可能)
車種運行線区編成両数製造年(量産編成のみ)運行終了年営業最高速度起動加速度ノーズ長普通車のシートピッチ備考
100N系東海道・山陽新幹線16両
→6両・4両
1989年
~1991年
2002年 (東海道)
2012年 (山陽)
220km/h (東海道)
230km/h (山陽)
1.4km/h/s4.8m1040mm2階建て車両4両連結
(グランドひかり)
500系東海道・山陽新幹線16両
→8両
1997年
~1998年
2010年 (東海道)
山陽は今のところ廃止予定なし
270km/h (東海道)
300km/h
→285km/h (山陽)
1.6km/h/s (東海道)
1.92km/h/s (山陽)
15.0m1020mm1号車博多寄りと16号車東京寄りはドアの設置無し
700系山陽新幹線8両1999年
~2001年
および2006年
廃止予定なし285km/h2.0km/h/s9.2m1040mm4~8号車は2列&2列シート
グリーン車なし
(ひかりレールスター)
800系九州新幹線6両2003年
~2010年
廃止予定なし260km/h2.51km/h/s9.2m1040mm2列&2列シート
グリーン車なし
N700系山陽・九州新幹線8両2010年
~2012年
廃止予定なし300km/h (山陽)
260km/h (九州)
2.6km/h/s10.7m1040mm4~8号車は2列&2列シート
車内全席禁煙のため喫煙スペース設置
※グリーン車のシートピッチは全車共通で1160mm

2. 結び

開業から53年が経つ新幹線のダイヤ改正にはスピードアップや性能の統一など、車両面での進歩は切っても切り離せないものとなっている。今後新型車両が導入され旧型車両の廃止が進めばさらなるダイヤの改善が見込めるものだろうと考えられるが、新幹線の車両は多くの人の夢と想いを乗せているためさよなら運転には多くの人が思いを寄せるのは間違いない。今後どのような展開が待っているのか楽しみにしたい。

【週刊新幹線】に関する諸連絡

【週刊新幹線】は毎週新幹線の過去について掲載することを目的としていますが、現在2017年夏の臨時列車とシーズンが重なり、そちらの対応もしなければならない状況となっております。そのため、当分の間近日運行される臨時列車、過去のダイヤ改正、今回のようなコラム記事など様々な新幹線に関する記事を掲載したいと思います。過去のダイヤ改正についての掲載を楽しみにしていらっしゃる方もいらっしゃるかと思いますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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2017年05月10日

【週刊新幹線1号】新幹線のダイヤはどうできている?新幹線のダイヤについて考察する

今週から始まる【週刊新幹線ダイヤ改正】!1号となる今回は、新幹線のダイヤはどのように組まれているのか、過去の時刻表から考察していく。

1. 新幹線のダイヤは定期列車の最速達から組むのが基本

そもそも、新幹線にはいくつの列車愛称があるかと思いますか?2017年現在で「のぞみ」「ひかり」「こだま」「みずほ」「さくら」「つばめ」「はやぶさ」「はやて」「やまびこ」「なすの」「こまち」「つばさ」「とき」「たにがわ」「かがやき」「はくたか」「あさま」「つるぎ」の合計18種類。現在新幹線開業から約53年経過したが、始め18年弱は「ひかり」と「こだま」の2つしかなかったことから考えると、大幅に増えた。この中で2010年以降に設定された種別愛称が6つもあることから、ここまで増えたのはほんの最近なことだ。
新幹線は東海道、山陽、九州、東北、北海道、上越、北陸の7線なので、単純計算で概ね各線に3種類ずつの種別愛称があることになる。各新幹線で最速達種別、速達種別、各停種別に大別することが可能で、東海道新幹線の場合には最速達種別が「のぞみ」、速達種別が「ひかり」、各停種別が「こだま」となる。
新幹線のダイヤは、原則定期の最速達列車から組み始める。定期の最速達列車は停車駅の数が一定の場合、終日一定の所要時間で運行されている。2017年時点では「のぞみ」(山陽新幹線区間)、「はやぶさ」(東京~盛岡)などが当てはまる。

そして次に組まれるのは定期の速達列車。「さくら」「やまびこ」「はくたか」などが当てはまります。その次に臨時便の最速達列車、臨時便の速達列車、各停種別(「こだま」(山陽新幹線区間)「なすの」「つるぎ」など)の順に組まれていることが多い。そのため各停種別は、上位列車のダイヤに影響が出ないように何本でも待避を行う。10分停車・3本抜きが山陽新幹線で起こるのはそのためである。
ただし、列車密度の高い東海道新幹線はそういうわけにはいかない。1992年の「のぞみ」登場以降東海道新幹線も他新幹線と同様最速達列車優先でダイヤを組んできた。しかし2003年の「のぞみ」大増発時に「のぞみ」の本数が多すぎて「ひかり」「こだま」が合間を縫って走るようにするためには昼間の東京~新大阪間を2時間30分で組むのが不可能になることが発覚。しぶしぶ毎時7本(臨時含む)中毎時6本を2時間37分で運行せざるを得なくなりました。それから東海道新幹線は「のぞみ」「ひかり」が「こだま」と譲り合ってダイヤを形成しています。そのため最大5分待ち・2本抜きで運行している。

2. 定期・多頻度・僅少列車について

新幹線のダイヤは臨時列車なしでは語れません。当サイトでは便宜上、「定期」と「臨時」ではなく、「定期」「多頻度」「僅少」の3つに分けて扱う。
ケース1:パターンダイヤにおいて一定の分に対して発車する列車に用いる場合 2017年現在では主に7時台~20時台東京発下りおよび新大阪発上り東海道・山陽新幹線(「のぞみ」「ひかり」「こだま」)および10時台~16時台東京発の東北新幹線(東京~盛岡間)・上越新幹線 その他九州新幹線(2004年~2010年)では使用可能
  • 定期列車:ダイヤパターンにおいて範囲とする時間帯全て(運行時間が24時を回るために途中駅止まりになる場合などを除く)においてパターンダイヤ時間帯内で全便毎日運転となる列車。
  • 多頻度列車:ダイヤパターンにおいて範囲とする時間帯の中で毎日運転となる列車と臨時運転となる列車が混在する列車。須田寛氏は著書内の図にて定期列車と多頻度列車を区別なく使用している。
  • 僅少列車:定期列車:ダイヤパターンにおいて範囲とする時間帯ほぼ全てにおいてパターンダイヤ時間帯内で全便臨時運転となる列車。須田寛氏は著書にて季節・臨時列車と扱っている。

ケース2:列車ごとに見ていく場合(パターンダイヤが十分形成されていないための措置) 2017年現在では主に九州新幹線(山陽新幹線直通含む)・北陸新幹線で使用 その他東北・上越新幹線(1992年~2002年)ではやむをえずこちらを使用
  • 定期列車:毎日運行する列車。全ての新幹線に存在する。毎日運転の臨時列車(いわゆる航空業界における「定期チャーター便」もこのサイトではこれに含む)
  • 多頻度列車:年間60日以上運行する(であろう)列車。曜日運転列車も含まれ、毎週金・土・日曜日運転などの準定期列車的存在の列車も含まれる。
  • 僅少列車:年間60日未満しか運行しない(であろう)列車。春休み・夏休み・冬休み・GW・SWなどにしか運行されない、帰省ラッシュ用列車。

3. 過去の新幹線のダイヤ改正実施は?

新幹線は1964年の開業以来の53年間、運行本数の増加と車両性能向上に伴い幾度もダイヤ改正を実施してきた。当鉄道ダイヤ研究会の調査では、過去に実施された新幹線ダイヤ改正は73回、うち1987年3月までの国鉄時代が23回、分割民営化されたJRになってからは50回となっている。一番多いのは古参の東海道新幹線の45回、次いで山陽新幹線の39回、東北新幹線29回、上越新幹線25回、北陸新幹線10回、九州新幹線8回、北海道新幹線1回となっている。まさに開業順とダイヤ改正の回数の上下関係が一致することがうかがい知れるだろう。ただ、この内訳には時刻表やWEBサイトでのダイヤ改正プレスが発出された回数のカウントであり、山陽新幹線を中心に特に国鉄時代にサイレントダイヤ改正を行っているようだ。そのためこの数よりも増える(そして東海道新幹線よりも実施回が増える)ことが予想される。

ダイヤ改正の傾向としては、1960年代・1970年代は東海道・山陽新幹線「ひかり」「こだま」の増発、1980年代は東北・上越新幹線の開業と東海道・山陽新幹線で「ひかり」の増発・速達化、1990年代は技術革新による新型車両導入による各新幹線の最高速度向上、2000年代は東海道・山陽新幹線「のぞみ」大増発を端に発する「のぞみ」の増発、2010年代は往年の名車両の相次ぐ引退と各停種別の速度向上、および新規開業が相次ぎ新種別ラッシュとなった。2020年代にはさらなるスピードアップとリニア開業が控えており、新幹線のダイヤ改正はますます深みのあるものになってゆくだろう。

4. なぜ新幹線のダイヤ改正を研究するのか

なぜ新幹線のダイヤ改正を研究するに至ったのか。それにはいくつか理由がある。

1つ目は東海道新幹線が1964年の開業以来53年以上もパターンダイヤを貫いていること。都市鉄道の場合、平日朝ラッシュ時、昼間、平日夕ラッシュ時、場合によっては土休日朝ラッシュ時、土休日夕ラッシュ時の5パターンを考えなくてはならない。しかし東海道新幹線の場合7時台~20時台出発まで概ね1つのパターンダイヤのみで構成されている。言ってみればパターンダイヤを非常に見やすいのだ。

2つ目はパターンダイヤの芸術性。東海道新幹線が53年間守ってきたパターンダイヤは、ダイヤ改正1つ1つごとに繊細な変化を見ることができる。1980年の「ひかり」「こだま」の運行比率が1:1から崩れ、1988年には現在の待避の基礎である2本抜きの開始、1993年の「のぞみ」のパターン化、2002年に復活した東北・上越新幹線のパターンダイヤ、現在のダイヤの基礎となった2008年の東海道新幹線のパターンダイヤ、そこからN700系投入に伴う3分単位のスピードアップ、2011年以降新規に開業した九州・北陸新幹線の亜パターンダイヤという新ジャンルの出現etc...数えきれない変化の蓄積が、各新幹線のダイヤ改正にある。それを1つ1つたどることで、新幹線開業以来の現在のダイヤがなぜできているのかを知るルーツを探ることができるのだ。

3つ目は国際比較が可能なこと。都市鉄道の場合、各々でダイヤが組まれていないことも多く(地下鉄アプリから引っ張ってきていますが、公式サイトで時刻表が出る都市鉄道があるのは日本と韓国くらい)、国際比較がしにくくなる。しかし高速鉄道は必ずダイヤが設定されているので、国際比較が容易なのだ。確かに各鉄道で制度の違いはあるものの、世界初の高速鉄道である新幹線を追いつけ追い越せで作られた世界各国の高速鉄道のダイヤも考察できるのだ。

このように、新幹線のダイヤ改正には様々な魅力が溢れています。一見するとスピードアップだけでしょと思われる新幹線のダイヤ改正でもこんなに奥が深いんです。今後新幹線のダイヤ改正について振り返ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

5. 結び

新幹線のダイヤ改正について振り返る企画【週刊新幹線ダイヤ改正】。新幹線のダイヤ改正についてほぼ毎週考察してゆきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

出典

東海道新幹線 写真・時刻表で見る新幹線の昨日・今日・明日, 須田寛 著, JTB出版事務局交通図書編集部, 2000年.

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2016年12月06日

ダイヤはどうできている?日中と平日夕ラッシュのダイヤから考える(昼夕輸送力比)

日頃よりダイヤ改正情報サイト、鉄道ダイヤ研究会を閲覧いただきありがとうございます。今回は当サイトで独自に使用している指標の1つ、「昼夕輸送力比」について考えてみる。

1. ダイヤはどうできている?

まずは運行ダイヤが大きくどうできているのかをしなくてはならない。大都市圏の場合、大雑把にいうと朝ラッシュ、日中、夕ラッシュだと思われるが、それだけでは足りない。朝ラッシュには平日と土休日があるし、夕ラッシュにも平日と土休日が分かれている。もちろん全ての大都市圏の路線で土休日朝ラッシュと土休日夕ラッシュがあるわけではないが、日中ダイヤとも平日ラッシュとも異なるものを組んでいる。土休日朝ラッシュ時ダイヤは東急田園都市線や小田急小田原線、西武新宿線、東武伊勢崎線、東京メトロ東西線などで行われており、土休日夕ラッシュ時ダイヤについては西武新宿線や東武伊勢崎線、近鉄大阪線、南海高野線などで行われている。土休日夕ラッシュ時ダイヤは日中の減便が行われた線区で行われることが多く、日中に減便した線区と昼間でも座席を確保するのが難しい路線では土休日朝ラッシュ時ダイヤが導入されているように見える。

そしてそれぞれのダイヤがどのようにできているのか。平日朝ラッシュ時は大都市圏の場合、車両や設備をフル活用しダイヤを組む。特にターミナル駅に8時00分~40分ごろに到着する列車を増やすように設定されている。そのため、パターンダイヤを組んでいることは少ない。また極力混雑を均等化するために平日朝にしか運行しない種別を設定することもあり、阪神本線や西武池袋線などでは千鳥停車も行われている。

次に昼間。昼間はわかりやすさを重視しパターンダイヤを組んでいることが多く、毎時何本運行されているか種別ごとに分けてもわかりやすい。Wikipediaにも掲載されているのはそのためである(とはいえWikipediaは後述するように知ったかぶりなだけなので関心はしないのだが)。

そして平日夕ラッシュ。平日夕ラッシュもパターンダイヤを組んでおり、小田急小田原線やJR大和路線、JR阪和線などではダイヤ改正プレスリリースで公言をしているほどだ。また平日夕ラッシュ時は時間が長く、短くても18時台と19時台の2時間見ることができるうえ、場合によっては21時台まで同じダイヤを組んでいることもある。また、平日夕ラッシュ時特有の種別を設けることは平日朝ラッシュと比べて少なく、あったとしても途中から各駅停車になるパターンが多いので日中との比較がしやすい。パターンダイヤを組んでいるのだからこちらも昼間と同様に扱うべきである。そこが知ったかのWikipediaとダイヤ改正研究者との大きな違いである。

ちなみに土休日夕ラッシュ時は先述したように日中の減便をした線区が主なので、かつての日中のダイヤを踏襲していることが多い。土休日朝ラッシュ時は日中減便した線区では土休日夕ラッシュ時と同様、昼間座席の確保が難しい線区では間隔を少し狭めたり(京王井の頭線では8分ヘッド→7.5分ヘッドなど)需要の高い列車を増発している例(東京メトロ東西線は昼間と比べて各駅停車のみ増便)などが挙げられる。

2. 日中のダイヤと平日夕ラッシュ時のダイヤに関連はあるのか

とはいえそれぞれパターンダイヤを組んでいるとはいえ、地域輸送主体の日中のダイヤと中心都市から各方面へ散る輸送が主体の平日夕ラッシュ時のダイヤが、どこで相関するのか。実は日中のダイヤは平日夕ラッシュ時のダイヤを改造しているものが多いのだ。具体的にその類型(重複する線区もあり)を挙げると、

第1型:平日夕ラッシュ時のダイヤから運転間隔、またはヘッドを広げて日中のダイヤとしたもの(京王井の頭線、JR大和路線、多くの地下鉄、新交通など)
第2型:平日夕ラッシュ時のダイヤから列車を間引きして日中のダイヤとしたもの(JR京都・神戸線の新快速、東急東横線各駅停車、東武伊勢崎線、近鉄南大阪線急行など。阪神本線もこの亜系と考えられる)
第3型:平日夕ラッシュ時のダイヤから種別の一部を格下げし、日中のダイヤとしたもの(近鉄大阪線、近鉄奈良線など)
第4型:日中のみダイヤを大きく変えたために、平日夕ラッシュ時のダイヤから離れてしまったもの(小田急小田原線、相鉄全線通過運転をする種別のある公営地下鉄など)

…以上のように大きく分けることができる。混合する例として西武新宿線やJR学研都市線は第1型と第2型の混合、東急田園都市線は第1型(各駅停車)と第3型(急行・準急)の混合と考えられる。この辺の大雑把さはあくまで個人サイトの1理論ということで見てもらいたい。

そして、日中の輸送力から平日夕ラッシュ時の輸送力を割ったものが、当サイトで導き出した「昼夕輸送力比」である。これは双方にパターンダイヤを組んでいるため割りやすく、特別な種別が少ないため優等列車と各駅停車に分けて算出することができる。どうやら大都市圏の全般的に見て昼夕輸送力比60~75%程度が妥当と思われる。これを上回る場合には昼間空席が7席のロングシートのうち2席以上空いているか、平日夕ラッシュ時の混雑が150%を超え、他の路線と比べて混雑していることを意味している。逆に下回っている場合には、昼間席が確保できないか、平日夕ラッシュ時の混雑率が他の路線と比べて低い(110%未満)ことが考えられる。つまり昼夕輸送力比が60~75%の範囲内であれば概ね昼間は座席が確保でき平日夕ラッシュ時は適度な混雑で済むが、この範囲を外れると「ダイヤ改悪」になりかねない1つの簡単な指標として使用することができる。

とはいえ例外もいくつかある。1つは工業地帯を走る鉄道の場合(鶴見線や名鉄築港線、和田岬線など)。通勤時間帯の需要のみが極めて高いため、昼夕輸送力比が下がってしまう。2つ目は空港連絡鉄道。平日夜に空港に向かう旅客は減るため、どうしても昼夕輸送力比が上がってしまう。3つ目はそもそも絶対輸送量が小さい場合。東京から概ね50km、100万都市から概ね30km離れると、編成構成最小単位では補正できなくなるほど昼夕ラッシュ比が下がることがある。これは、大都市から近いエリアでの乗客を分散させるためにあえて遠距離まで向かう列車を平日夕ラッシュ時に大幅に増やしている場合もある。なお、この場合は平日朝ラッシュ時と運行本数がほぼ同じことが多い。

最後に地域輸送性を考慮し平日夕ラッシュ時の運行本数のまま日中のダイヤとした場合。これは私鉄で行われていることが多く、昼間ガラガラなことは必須であり、1つ前の編成構成最小単位では補正できなくなっているという場合もある。このことから、昼間の運行本数から適切な平日夕ラッシュ時の輸送量を考えることは時に不適切となることが各駅停車を中心によくあるので、逆算する際には注意してほしい。

3. 昼夕輸送力比の計算式


昼夕輸送力比=平日夕ラッシュ時の輸送力(両)/(平日)日中の輸送力(両)×100(%)
適正値:60~78% 推奨:66~75%
※詳細と注意点は上述の第2章を参照

4. 結論

この「昼夕輸送力比」はあくまでこのサイトのみで用いられる理論ではあるが、ダイヤグラムを考える上では有用なツールとなりうる。もしダイヤ改正で昼間や平日夕ラッシュ時のダイヤにも気にしてみると、また1つダイヤ改正で見どころが増えるものと思われる。客観性を上げるためにも今後もこの理論を基に考察をしていきますので、今後とも当サイトをよろしくお願いいたします。




12月16日金曜日はダイヤ改正一斉公表日です!
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