2017年06月19日

混雑緩和のため増結と増便へ! あいの風とやま鉄道・IRいしかわ鉄道・北陸鉄道ダイヤ改正(2017年3月4日/2017年4月1日)

あいの風とやま鉄道は2016年12月16日、プレスリリースにて2017年3月4日にダイヤ改正を行うと公表した( http://ainokaze.co.jp/wp-content/uploads/2016/12/21e81a17fefa515a001fdeffb1962992.pdf )。またIRいしかわ鉄道も同日にダイヤ改正を行うと公表した( http://www.ishikawa-railway.jp/info/pdf/20161216.pdf )。それに追って北陸鉄道ではプレスリリースにて2017年4月1日に浅野川線でダイヤ改正を行うと公表した(
http://www.hokutetsu.co.jp/archives/16206 )。今回は北陸地方で行われたこれらのダイヤ改正について見ていく。

1. 直通増強と増便で利便性向上

北陸新幹線金沢開業により2015年3月14日にJR西日本から経営分離された北陸本線の一部を第三セクターとして開業したあいの風とやま鉄道であるが、同日に開業したしなの鉄道北しなの線やえちごトキめき鉄道、IRいしかわ鉄道、果てはこれまでに開業した並行在来線第三セクターのIGRいわて銀河鉄道や青い森鉄道、肥薩おれんじ鉄道などとはと異なり、毎度毎度大きなダイヤ改正を行ってきた。前回2016年3月26日ダイヤ改正では富山駅を境に東西に概ね運行系統が分かれていたのを直通列車を増強し7往復を直通化した。今回のダイヤ改正では微増ながらも富山駅を境に直通する列車を合計で1本増やした。前回のに比べれば直通増強については微調整というレベルなのだろう。

今回2017年3月4日のあいの風とやま鉄道のダイヤ改正の目玉は、開業以来の大幅な増発である。需要の多い富山~高岡間では2往復を増発し、概ね昼間40分間隔の運行となる富山~IRいしかわ鉄道金沢間の運行の間に富山~高岡間の区間運転列車を挟んで概ね20分間隔での運行となる時間帯を増やすことに成功した。

また、朝の混雑緩和を図るため、黒部→富山で2両編成が1本増発された。富山7時43分着となる列車で平日であれば朝ラッシュとなり、前後の泊始発および糸魚川始発列車は4両編成での運行となっているが、区間運転で前後の運行間隔が詰まっていることもあり2両編成でも足りると判断したのであろう。2015年の開業当初は521系2両編成では追いつかず、慌てて413系3両をに置き換えて混雑緩和を図ったこともあったが、今回の増便もJR西日本が特急列車の運行をやめたことにより普通列車の所要時間が短縮され、運賃が3割増しになっても自由度の高い運用が組めるようになり、利便性が高まったことで需要が伸びたのであろう。次回2018年3月に予定されているダイヤ改正では高岡やぶなみ駅の設置もあり、ますますの需要増加が見込まれ、今年度2017年度から3両編成の413系を521系で置き換える計画もあり、さらに自由度の高いダイヤが組めるものになるのであろう。

2. 土休日の朝は金沢着列車が増発

今回のダイヤ改正ではIRいしかわ鉄道も増発に乗り出した。IRいしかわ鉄道では土休日の朝に限り乗車券のみで利用できる各駅に停車する津幡発金沢行きIRホリデー号を1本運行する。また北陸鉄道では浅野川線において土休日ダイヤを平日ダイヤに統合し全日ダイヤとすることで、土休日の朝に2往復を増発した。この土休日の朝に運行する列車はJR北陸本線の小松~金沢間でも行われておりどの方向からも金沢へのお出かけがより便利になった。

またIRいしかわ鉄道ではあいの風とやま鉄道と共同で繁忙期に1往復を2両から4両に増結する措置をとることを公表した。これにより帰省シーズンの輸送対策にも効果が現れることだろう。

3. 結び

今回2017年3月4日の北陸地方の各鉄道のダイヤ改正では、需要の多い富山県では増発によるテコ入れが行われ、石川県では土休日の金沢への需要に備えるため2社で土休日に限り増発を行った。本年2017年4月15日からはあいの風とやま鉄道だけではなく新高岡駅や石川県内のJR北陸本線・IRいしかわ鉄道の全駅でICカード「ICOCA」が利用できるようになり、2018年には福井県内のJR北陸本線全駅で利用可能となる見込みだ。あいの風とやま鉄道では2022年度までに521系で統一されることからも、今後北陸地方を走る各社がどのようなダイヤを組んでいくのか、北陸新幹線が福井又は敦賀延長した際にIRいしかわ鉄道や福井県内に新設される第三セクター鉄道はどのようなダイヤを組むのか、見守って行きたいと思う。

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2017年06月16日

日比谷線用東武20000系列短縮ワンマン化への布石か 東武鉄道・上毛電気鉄道ダイヤ改正(2017年4月21日)

東武鉄道は2月28日、プレスリリースにて2017年4月21日に特急以外の列車でもダイヤ改正を行うと公表した( http://www.tobu.co.jp/file/pdf/812bccf06a3e6c3655e33c92ab2f9031/170228_4.pdf?date=20170301175350 )。またこれに合わせて上毛電気鉄道も同日4月21日にダイヤ改正を行うと公表した( http://www.jomorailway.com/img/rinkfile/2017daiyakai.pdf )。今回はこれについて見ていく。

東武日光線快速廃止を含む東武日光線系統急行・普通列車の同日のダイヤ改正についてはこちら!

東武鬼怒川線・野岩鉄道・会津鉄道の同日のダイヤ改正についてはこちら!

東武日光線・野田線系統の特急列車の同日のダイヤ改正についてはこちら!

1. 特急「りょうもう」の利便性向上と接続改善

今回2017年4月21日ダイヤ改正では、特急「リバティ」の設定による東武日光線の快速廃止だけではなく、伊勢崎線系統でも特急「りょうもう」を軸に置いた比較的大規模なダイヤ改正が行われた。

赤城で接続する上毛電気鉄道では、特急「りょうもう」の時刻に合わせて、初電の繰り上げが行われた。具体的には大胡始発西桐生行きは18分繰り上げを行い、東武桐生線の普通東小泉行き(太田で特急「りょうもう6号」浅草行きに接続)に接続することにより北千住・浅草の到着時刻をちょうど1時間(土休日は59分)繰り上げることに成功した。東武鉄道としても上毛電気鉄道初電からの「りょうもう」利用需要に応えるため、土休日のみ運転だった「りょうもう6号」を毎日運転に変更し、平日にも運行されるようになった。また後続の赤城始発特急「りょうもう8号」も赤城始発時刻を30分、浅草着時刻を20分繰り上げて北千住・浅草を経て東京への滞在時間を延長することに成功した。

また終電についても東武特急「りょうもう」の運行時刻繰り下げを行った。従来赤城方面の最終列車だった特急「りょうもう45号(ダイヤ改正後)」赤城行きは浅草発時刻を20時10分発から20時20分発に10分繰り下げ、それに伴い上毛電気鉄道も中央前橋行き最終列車を16分繰り下げて接続させ、東京滞在時間を10分延ばすことに成功した。また、従来太田行きだった浅草21時10分発特急「りょうもう49号(ダイヤ改正後)」は運行区間を延長し、赤城行きとなった。これに伴い上毛電気鉄道では大湖行き最終列車を14分、西桐生行き最終列車を3分繰り下げることにより接続を図ることとなった。従来までは浅草20時40分発特急「りょうもう45号」伊勢崎行きに乗車の上、途中太田で東武桐生線普通赤城行きに乗り継いで上毛電気鉄道にさらに乗り換えていたが、今回のダイヤ改正で東京滞在時間が30分さらに伸び、乗り換え回数も1回に減少することに成功した。

2. 昼間だけでなく夕ラッシュも館林で系統分割

今回の2017年4月21日のダイヤ改正では、東武快速の廃止に伴う南栗橋でのさらなる系統分割が大きな話題となったが、東武伊勢崎線でもこっそり系統分割が行われた。これまで久喜〜館林間は昼間は6両編成の毎時3本の普通列車があり、うち毎時1本は太田まで乗り入れており、平日夕ラッシュ時は6両以上の区間急行及び普通列車が毎時4本、うち太田まで概ね毎時3本が乗り入れていた。伊勢崎方面へは3両編成のワンマン列車で、昼間は館林から毎時1本、平日夕ラッシュ時は太田から毎時2本運行されていた。今回のダイヤ改正ではその様相が一変し、朝の3両ワンマンの館林乗り入れが増加し6両+2両編成が1運用減、昼間は特急を除き全列車館林で系統分割となり館林〜太田間は3両ワンマンのみの毎時2本に縮小し6両編成が1運用減、平日夕ラッシュ時は毎時1本程度を除き太田発着の6両編成以上が館林発着に短縮され、代替として太田〜伊勢崎間の3両ワンマンが館林まで延長することにより乗車チャンスを確保し、6両編成の2運用減を行なった。そこで東武伊勢崎線館林~太田間で恒例の昼夕輸送力比(適正値60〜78%/推奨値66%~75%)をみていくと、ダイヤ改正前は昼間は毎時9両、平日夕ラッシュ時は毎時18両~20両のため昼夕輸送力比は45%~50%であったが、ダイヤ改正後は昼間は毎時6両、平日夕ラッシュ時は毎時12両となり昼夕輸送力比は50%とほとんど変わらず、自動車社会化している地域では妥当なラインと言える。これにより東武鉄道館林地区では3両ワンマンの運用がどの編成も概ね終日組まれることとなり、6両編成は終日で1運用削減することに成功した。そのため足利市や太田などからJR宇都宮線に乗り換えられる久喜へ行くためには平日朝を除き原則館林で乗り換えが必要となり、利便性確保のため特急「りょうもう」の久喜全停車を行うことで大宮アクセスを特急誘導によって確保しようとしたのであろう。

今回のダイヤ改正では、8000系の3両ワンマン車両の使用頻度が増えたが、東武鉄道としては10000系列を東武野田線用に捻出して8000系を追い出したい又は60000系の導入数を減らしたい思惑があるものと思われ、このダイヤ改正で行われた東武快速の廃止による6050系の東武日光線普通列車での運用増加でも4両の10000系列車両を浮かせることに成功し、この記事で扱った8両の削減と合わせて12両が捻出され、東武野田線の2運用の置き換えにつなげられるものだと思われる。

また、東武鉄道では地下鉄東京メトロ日比谷線直通用に70000系を導入し、寿命に余裕がある20000系列の置き換えようとしているが、東武鉄道としてはこの20000系列を再利用したいところ。かつて日比谷線直通用に使われていた2000系は東武野田線に転用されたが、起動加速度を調整しようとしたところうまくいかずあえなく廃止となったが、今では地下鉄の起動加速度3.3km/h/sは多くで受け入れられており、近郊電車も他社含め全般的に起動加速度が向上したこと(概ね2.5km/h/s程度)、またモーターの性能が向上していることからそのまま転用できるのではないだろうか。

現状東武鉄道では2両~4両のワンマン運転において古参の8000系を使用しており、老朽化が激しい。ツーマンでは南栗橋入出庫を除けば東武野田線でしか使用しておらず、こちらは先述の10000系列の転用か70000系列の導入で済ませようとしている。かつての2000系のように20000系列の転用で新車導入を抑えたいところだが、残念なことに柏と船橋にはホームドアが設置され、今後拡大する可能性があることを考えると車両長が2m短い20000系列は東武野田線に20000系列を導入するのはドア位置が合わないため不可能なのである。

しかし、ワンマン運転が実施されている東武亀戸線や大師線、宇都宮線、佐野線、小泉線、桐生線、伊勢崎線の末端区間はそもそも輸送人員が少ないため、ホームドアが設置される可能性は極めて低い。現在使用されている8000系は20m車であり20000系は18m車と2両短いため1両あたりの重量が他ステンレス車導入と比べてもそのぶん軽くなること、、モーターも技術革新が進み省エネなことから、東武鉄道のワンマン線区への20000系列の転用はもってこいなのだ。

しかし東武だって今ある8000系は極力使い切りたい。そこで今回2017年4月21日のダイヤ改正で6両編成運用を減らして8000系3両ワンマン運用を増やすことで8000系の台車を極力使い切らして他の車両を温存又は転属させたいのであろう。今後8000系をいつまで使い続けるのかも見どころだと思われる。

3. 結び

今回2017年4月21日ダイヤ改正では、東武日光線快速の廃止や東武特急「リバティ」の導入、そしてその直後の2017年GWに臨時列車としての東武快速の復活にスポットが当てられていたが、伊勢崎線方面では他社である上毛電気鉄道も含めて特急「りょうもう」の利用を基軸とした大幅なダイヤ改正を行なった。東武鉄道は依然経営が厳しいが、今後どのような舵取りをしていくか見守って行きたい。

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記事の取り扱いについて(2017年6月17日午前8時30分追記)

6月16日夜から6月17日の朝にかけて、この記事および当サイトと思しきものを誹謗中傷するととれる内容がとあるブログにて赤字大文字表記で投稿されました。日時は作為的に変更されているため正確な投稿時間は不明ではありますが、今後当「鉄道ダイヤ研究会」のサイト全体及び記事内容についてこのような投稿を繰り返す場合、日本国刑法230条1項(名誉毀損)及び関係法令により告訴させていただくことを辞しません。この件については該当ブログには通知済みであり、多少表現をあいまいにしてはいただいたものの内容としては未だに関係法令(刑法231条)に抵触する内容となっております。再度コメント欄に投稿しようとしたところ投稿拒否されたため、告訴されても良いものだと解釈しております。

私自身も時々間違いを書くこともあるのでコメント欄でご指摘していただけると非常にありがたいのですが、意見を反映したうえで時間不足もあり個々のご返信はご遠慮させていただいております。今後とも皆様のご意見を反映し記事を作成してゆきたいと思いますので、鉄道ダイヤ研究会をよろしくお願いいたします。追記の投稿により多くの読者の皆様にご迷惑をおかけし申し訳ありません。
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2017年06月14日

のぞみを潰して速達型ひかりレールスター運行! 山陽新幹線臨時列車運転(2017年7月~9月夏期間)

JR西日本は5月19日、プレスリリースにて2017年夏の臨時列車を公表した( https://www.westjr.co.jp/press/article/items/170519_00_hosya1.pdf )。今回はこのうち、山陽新幹線で運行される予定の速達型「ひかりレールスター」について見ていく。

1. 停車駅が速達型の「ひかりレールスター」運行

今回の2017年夏の臨時列車運行では、8月13日、15日、16日の3日間に博多12時19分発、新大阪15時14分着「ひかりレールスター576号」を運行すると公表した。もっとも、2011年3月12日ダイヤ改正により九州新幹線が博多~新八代間で開業し山陽新幹線と直通運転をするようになったことで「みずほ」「さくら」が運行を開始し、2012年3月17日のダイヤ改正で臨時を含めほぼすべての「ひかりレールスター」がN700系8両編成の「さくら」にとって代わられる前までは、毎時1本程度で「ひかりレールスター」の臨時列車が設定されていた。特に2003年10月1日の「のぞみ」大増発前までは自由席のある「ひかり」に乗客が集中することもあり(当時「のぞみ」は全席指定であった)、2017年3月4日のダイヤ改正で「みずほ」N700系8両を「のぞみ」N700系16両で超繁忙期は潰すようになったのと同様に、700系8両編成の「ひかりレールスター」では輸送力が足りず700系16両編成や500系16編成で繁忙期は代替することもあった。そのような黄金時代も「ひかりレールスター」にはあったが、今では「こだまレールスター」として扱われたり、「ひかりレールスター」であっても通過駅が僅か2駅しかない列車での運行など完全な下火となってしまった。そんな中、2017年の夏に「ひかりレールスター」の臨時列車を運転、しかも停車駅が速達タイプで設定されたのだ。

今回の停車駅が速達型の「ひかりレールスター」は、博多駅を12時19分に出発すると、小倉、広島、岡山、姫路、新神戸と停車し、新大阪に15時14分に到着する。停車駅の数は「のぞみ」全停車駅に姫路のみを加えた形で、東海道新幹線に直通していれば「のぞみ」として運行できるほどの数に絞られており、正に正統派の「ひかりレールスター」と言えるであろう。「ひかりレールスター」(最高285km/h)は最盛期でも新大阪~博多間無待避での運行で概ね2時間40分~2時間46分での運行が多く(最速は2時間35分、最遅は2時間49分であるが停車駅の違いによるものが大きい)、今回の2時間55分での運行は1989年3月11日~1993年3月17日までの最盛期の100N系「グランドひかり」(最高230km/h)の2時間49分運転には及ばないものの、当時の「グランドひかり」は新大阪を出ると岡山、広島、小倉にしか停まらない俊足っぷりだったため停車駅追加の時間や、過密ダイヤ化による待避を考慮すれば多少遅いくらいで速達型の名に恥じない運転をしているのではないだろうか。

2. 「ひかりレールスター」、窮鼠猫を噛む

往年の名列車とも言われる700系8両編成「ひかりレールスター」であるが、最盛期は「のぞみ」に抜かれることなく指定席は2列&2列シートでサイレントシートや4人用普通個室などさまざまなニーズに合わせて運行されていた。しかし先述のようにN700系8両編成「さくら」にとって代わられ、臨時「ひかり」もN700系8両編成で「さくら」の短縮版での運行が主となり、速達型で運行しても列車密度が増えたためにどうしても待避をしなければいけなくなった今、「ひかりレールスター」は東北新幹線「はやて」並みの絶滅危惧種になってしまった。

そこで今回JR西日本はある奇策をとることとした。その奇策とは、「のぞみ」の運行ダイヤを潰して「ひかりレールスター」を運行することである。実は今回運行する僅少「ひかりレールスター576号」の博多発時刻である12時19分は、なんと僅少「のぞみ170号」の博多発時刻と全く同じ。2017年3月4日のダイヤ改正以降、博多発としての運行は4月29日(昭和の日)、7月14日、7月29日の3日しか今のところ運行(予定)のないダイヤパターンに組み込まれた僅少「のぞみ170号」であるが、この700系で運行可能なスジを今回の僅少「ひかりレールスター576号」は博多→新山口間で潰し、博多発での運行を不能にさせたのである。しかも僅少「のぞみ170号」が停車する新山口を、僅少「ひかりレールスター576号」は華麗に通過し、なんと広島到着は「のぞみ170号」より5分速いという大道芸を見せる。その後福山で500系運転の「こだま740号」を抜かすが、今回運転される「ひかりレールスター576号」を通すため臨時「ひかりレールスター」運行日に限り新尾道発時刻を1分繰り上げるという配慮まで見せる。このこうしてひかりレールスターは「のぞみキラー」という新しい顔を手に入れたのだ。その後は広島からは多頻度運行になり僅少「ひかりレールスター」運行の3日間は全て広島始発で運行される「のぞみ170号」に岡山で抜かれ、博多発の定期「のぞみ30号」に姫路で抜かれ、15時14分に新大阪駅20番線に到着し、運行を終える。岡山→新大阪では過密ダイヤにより「のぞみ」2本の待避を受けるが、岡山までは最速達種別であるはずの「のぞみ」より速い時刻で運行し、「のぞみ」のスジを潰すという前例のない事態となっている。形式上上位種別の「のぞみ」を「ひかりレールスター」が潰したのだから下剋上だとも言えるが、かつては「のぞみ」より人気があったことを考えると、正に窮鼠猫を噛む(外部リンク参照)とはこのことであろう。

「のぞみ」を潰す「ひかり」と言えば主に日曜運転の東海道新幹線「ひかり535号」(東京20時33分発、新大阪23時29分着)を思いつく方もいるかもしれないが、この列車のもとをたどると1989年3月11日のダイヤ改正から多頻度運行(日曜日とたまに金曜運転)の「ひかり173号」(東京20時12分発、名古屋22時23分着)に遡ることができ、その後紆余曲折を経て2005年3月1日のダイヤ改正より多頻度「のぞみ」が「ひかり」の運休日に新大阪着時間を潰す形で設定され、今ではすっかり「のぞみ」に浸食されつつあるが、こちらは先住民の「ひかり」をその後に設定された「のぞみ」に潰される形となっているものと考えられ、今回のような「のぞみ」僅少スジを「ひかり」、しかも「ひかり」の中でも「ひかりレールスター」が潰すのは過去の時刻表15冊を調べても見当たらず、後述のこの列車の成り立ちから考えても今回が初めてであるものと思われる。

とはいえ、最速達種別の「のぞみ」より速く運行する理由にはいくつかある。確かにこの「のぞみ170号」は僅少ゆえ、700系でも運行可能なダイヤとなっている。そのため新大阪まで「のぞみ」と同じ停車駅・運行時刻で組めたはずだ。それなのになぜ「ひかりレールスター」を「のぞみ」より岡山まで速く運行させたのだろう。それには、山陽新幹線の需要が東高西低であることが一因ではないだろうか。データで見るJR西日本によれば、山陽新幹線広島~博多間の輸送密度は新大阪~岡山間の半分ほどしかなく、博多口は超繁忙期でもない限りもっぱら空気輸送が目立つ。「のぞみ」も新大阪~広島間は多頻度でも毎時5本設定されるが、広島~博多間では超繁忙期にならない限り毎時4本運転にはならない。そのため「のぞみ」のスジを潰そうにも、広島~新大阪までも潰してしまったら輸送力が16両から8両に減ってしまい、輸送力不足が懸念される。そうなれば「のぞみ」より遅い設定で新山口も停車させて良かったと思うかもしれないが、あえて「のぞみ」より先行して運行し、岡山であえて抜かさせることにより、博多や小倉から名古屋・東京方面に向かう旅客が広島または岡山で乗り換えさせることで「のぞみ170号」と同等の所要時間で到達できるようにしている。そのため「ひかりレールスター」を新山口通過とすることによりあえて「のぞみ」より速い設定にしたのではないだろうか。

3. 速達型「ひかりレールスター」運行は苦肉の策なのか

今回、久々に700系8両編成を用いた速達型「ひかりレールスター」の運行にこじつけたわけだが、この新大阪15時14分着のスジはなかなかの曲者で、もとは博多~新大阪間のウエスト「こだま」用であったのだが、減便により毎時14分着のウエスト「こだま」は11時台と16時以降のみとなってしまった。JR西日本もこの枠の活用法についてかなり模索しているようで、2017年に入ってからだけでも3回全く別のダイヤで運行している。この節では、2017年以降の山陽新幹線新大阪15時14分着列車の変遷について見ていく。

まず2017年で初めに設定されたのは1月3日・4日。JTB時刻表2016年12月号によれば、博多11時25分発として「ひかり596号」を設定した。1月3日はは700系16両編成で運行したものの、翌4日は700系8両編成「ひかりレールスター」で運行されている。停車駅は小倉、新山口、徳山、広島、三原、福山、岡山から新大阪までの各駅と多くの駅に停車しており、通過駅は僅か6駅しかない設定となった。所要時間も3時間49分となっており、2012年3月以降の遅い「ひかりレールスター」の設定となった。

次に設定されたのはダイヤ改正後の5月7日。JTB時刻表2017年3月号によれば、博多発10時41分発として「こだま776号」を設定している。使用車両は700系8両編成で、「ひかりレールスター」と同型の車両である。停車駅は全駅で、1月3日・4日に設定した臨時「ひかり596号」の需要が振るわなかったため停車駅を増やし、当該列車に時刻をウェブのプレスリリースにも記すことで利用者数を伸ばそうとしたのであろう。とはいえ所要時間も4時間27分に延び、他のウエスト「こだま」が5時間以上かけて運行するのに比べればまだ速いのであろうが、18分~24分後続の「こだま740号」の需要を奪うだけにとどまり、こちらも需要が伸びなかったのだろう。

そしてJR西日本は気付いた。元ウエスト「こだま」用スジであったとはいえ、「のぞみ」がひっきりなしに走り選択停車をし、「さくら」が選択停車駅間の輸送を補完する中、もはやウエスト「こだま」や停車駅の多い「ひかりレールスター」では多客期輸送の緩和にはつなげられないと。その窮地に立たされた時に導き出された発想の転換こそが今回の夏の臨時列車のお知らせで運行が決定された速達型「ひかりレールスター」の運行に繋がったのではないだろうか。

4. 結び


今回の2017年夏の臨時列車運転では、久々に速達型「ひかりレールスター」の運行を設定した。そして500系「こだま」の協力も得て「のぞみ」のスジを潰して「のぞみ」より途中まで速く運行する「のぞみキラー」という奇策に打って出た。しかしその設定の裏には様々な背景があり、JR西日本の試行錯誤が垣間見える。今後どのような列車を運行していくのか、そして今冬にもこの「のぞみ」を潰す「ひかりレールスター」が現れるのか、注目したいところだ。

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2017年06月13日

国際特急列車ユーロシティもスピードアップ! ゴッダルトベーストンネル開業に伴うスイス国内ダイヤ改正(2016年12月11日) / Gotthard Base Tunnel in Switzerland opening at 11, Dec. 2016.

スイス国鉄( Schweizerische Bundesbahnen )では、2016年12月11日にゴッタルドベーストンネルを開業したと公表した。今回はこれについて見ていく。

1. スイス・ドイツとイタリアがさらに近く

今回開業したゴッタルドベーストンネルは、スイス南部のアルプストンネルを貫いて建設された全長57kmのトンネルで、日本の北海道と青森県を結ぶ北海道新幹線の青函トンネルを抜き、世界で一番長いトンネルとなった。このゴッタルドベーストンネルの開通により、より長編成の貨物列車を運行することが可能となり、旧線にあった7回ものループ線を通らなくなることから大幅な時間短縮となった。トンネル自体は2016年6月1日に開通したが、2017年ヨーロッパ冬ダイヤ改正により旅客列車も本格的に新線乗り入れすることとなったのだ。

ヨーロッパ鉄道時刻表2017年冬号によれば、スイスのチューリッヒとイタリアのミラノ間の国際特急列車「ユーロシティ(EC)」が37分短縮の3時間36分での運行となる。この「ユーロシティ(EC)」はチューリッヒでドイツ高速鉄道ICEに乗り換えが可能で、フランクフルトやハノーバー、ベルリンへと向かうことができ、ドイツからイタリアへの最短ルートとして機能している。今回の新線開業で「ユーロシティ(EC)」(2時間に1本程度)やスイス国内振り子式特急列車の「インターシティ・ナイゲツーク(ICN)」(2時間に1本程度)、スイス国内特急列車の「インターシティ(IC)」(毎時1本)の合計概ね毎時2本は軒並み新線に切り替えたが、中距離列車の「インターレギオ(IR)」や快速列車の「レギオエクスプレス(RE)」の合計概ね毎時1本は旧線で残ることとなった。新線切り替えにより所要時間は短縮したが、運行本数は据え置かれているようだ。

2. 中距離列車の「インターレギオ(IR)」、エルストフェルトで系統分離へ

これまで旧線しかなかったために「ユーロシティ(EC)」から「インターレギオ(IR)」までスイスのイタリアとの国境沿いの町ロカルノまで直通で、「ユーロシティ(EC)」や「インターシティ(IC)」などの特急列車に抜かれることなく運行ていた。しかし今回2016年12月11日ヨーロッパ冬のダイヤ改正でゴッダルトベーストンネルが開通したことにより特急列車の「ユーロシティ(EC)」から「インターシティ(IC)」まで速達化したことにより、中距離列車の「インターレギオ(IR)」は先着列車ではなくなり、需要が落ちると見込まれた。そこでスイス国鉄はある程度需要の見込めるエルストフェルトまでは従来通り中距離列車「インターレギオ(IR)」を運行し、そこから先の旧線区間は鈍行列車の本数を維持したままほとんどの場合種別を格下げした快速列車「レギオエクスプレス(RE)」に乗り換えさせる系統分離を行った。これにより旧線の地域輸送は確保される見通しとなったが、スイス南部からはスイス最大の都市チューリッヒへ行くためには原則乗り換えが生じることとなり、そこそこの規模(といっても1万5千人程度の人口)の都市であるベリンツォナやロガルノからは「インターシティ(IC)」などの特急誘導となった。ただこれまでイタリア・ミラノ発着で運行されていた朝晩の区間運転的存在となっている快速列車「レギオエクスプレス(RE)」は旧線経由のまま存置され、国境を挟む需要は保たれているようだ。

3. 旧線の活用法は

今回の新線開業で毎時1本の中距離列車ないし快速列車しか走らなくなる旧線であるが、旧線と新線が並走しては採算が悪くなるのはやむ負えない。そこでスイス国鉄はゴッダルトベーストンネルの開業に合わせて旧線のゲシェネン~ルガノ間に展望車連結のゴッダルトパノラマエクスプレスを4月15日~10月22日まで(但し8月1日を除く)の夏期間に運行することとなった( http://www.myswitzerland.com/ja/gotthard-panorama-express.html )。一般旅客列車が運行されているとはいえ日本のJR西日本山陰本線(嵯峨野線)の旧線区間を活用した嵯峨野観光鉄道のような観光ニーズを生み出そうとしているようだ。

4. 結び

今回のヨーロッパ2017年冬ダイヤ改正では、ゴッダルトベーストンネルの旅客営業開始により各種特急列車の所要時間が短縮され、ドイツ・スイスとイタリアがより身近になった。現在は特急列車のみの運行でドイツへは乗り換えが必須だが、貨物共用トンネルではあるが日本の北海道新幹線の青函トンネル同様に今後ドイツ高速鉄道ICEが直通してさらに身近になるのか、見守ってゆきたいと思う。

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2017年06月11日

南海梅田延伸へ 南海なにわ筋線ダイヤ改正予測(2031年予定)

南海電鉄は5月23日、なんば筋線を大阪府や大阪市、JR西日本、阪急電鉄とともに整備する方針であるとすると公表した( http://www.nankai.co.jp/library/company/news/pdf/170523_1.pdf )。今回はこれについて、ルートの選定や南海なにわ筋線および周辺路線のダイヤ改正予測について見ていく。

なにわ筋線開業に伴うJRンしい日本のダイヤ改正予測についてはこちら!

1. 路線配置は経営不振路線の救済か

今回大筋でルートが決まったなにわ筋線のルートについて、公表されているものから見ていく。そもそもなにわ筋線は、関西空港や阪南方面から梅田を直接目指すために建設が計画されている路線で、JR大和路線のJRなんばから梅田を目指して作られる計画で、それに沿って私鉄の南海も梅田を目指す計画としていた。計画当初は南海については汐見橋線の汐見橋からまっすぐ北上する計画であったが、今回変更になることが明らかになった。具体的には、JR大和路線JRなんば駅と南海本線新なんば駅の両駅(地下に設置)からなにわ筋へ向けて北西方向に向け伸びることとなった。JRなんば駅は既存のJR大和路線の駅であるが、南海新なんば駅は地下鉄四つ橋線なんば駅付近に設置される模様で、近鉄大阪難波駅からのアクセスが向上される。その後、長堀鶴見緑地線の西大橋には駅を設けず、地下鉄中央線との交点付近に西本町駅を設置する。その後さらに北上し京阪の乗り入れる中之島駅を通り、JR西日本がおおさか東線の終点として設置予定の北梅田駅に乗り入れ、新大阪・京都方面への乗り入れ運転を行えるようにするとしている。

今回のなにわ筋線計画の路線環境から考察していくと、南海新なんば駅は地下設置でかつ新今宮から徐々に地下に潜っていく構造であるとすれば、東側配置の南海高野線の地下化ではなく西側配置の南海本線が2線ともそのまま地下に潜らせた方が賢明で、もし万が一南海高野線を地下化するとすれば今宮戎駅をどうするかという問題が生じるが、南海本線の地下化であればその心配は不要である。また本線は地下・高野線は地上と分離することにより、ダイヤ設定の制約がほとんど課されなくて済む。まるで大阪上本町駅における近鉄大阪線(地上)と近鉄奈良線(地下)のような棲み分けになるのであろう。南海本線普通列車も南海新なんば駅を2面3線ないし2面4線にすれば従来通りなんばで折り返せるものになると思われる。

南海新なんば駅については先述の通り、地下鉄四つ橋線なんば駅付近に建設される見込みで、近鉄大阪難波駅までの道のりがこれまでより400メートルほど短縮される見込みで、近鉄奈良線布施・近鉄奈良方面だけでなく、阪神なんば線尼崎・三宮方面への利便性を向上させるのであろう。この南海本線なんば駅の実質移転により、地下鉄千日前線への乗り換え距離も短縮される見込みであるが、大阪市中心部を走る地下鉄御堂筋線への乗り換え利便性は低下する見込みだ。沿線の比較的近いところを通ることと御堂筋線への乗り換え防止による旅客獲得および混雑が慢性化している御堂筋線自体の混雑率低下を目論んでいるものと思われ、民営化後の大阪市高速電気軌道にとっても必ずしもマイナスではないのであろう。

次の西本町駅は地下鉄中央線の本町駅と阿波座駅のほぼ中間地点。プレスによれば地下鉄中央線と乗り換えられるようだが、乗り換え距離は400mを超える勢いだ。もし西本町駅をもう少し南寄りに設置すれば長堀鶴見緑地線とも乗り換えられるのであるが…

さらに北に進むと中之島駅を設置するという。中之島駅にはすでに京阪中之島線が乗り入れており、普通列車を中心に運行されている。開業当初は京阪の梅田地区の玄関口乗り入れ(大江橋駅・渡辺橋駅)ともあって快速急行が毎時2本設定されていたのだが、見事に滑り負の遺産化している。特に天満橋~大江橋間は京阪本線の天満橋~淀屋橋間と同一駅扱いのため高額な建設費を回収するための加算運賃がとれず、苦境に苦しんでいた。そんな中終点の中之島駅からJR・南海に乗り換えられるようになれば加算運賃の回収が飛躍的に進むであろう。

そしてなにわ筋線の終点、北梅田駅。かつてのJR貨物梅田駅跡地に設置される駅であるが、改修しておおさか東線の列車を乗り入れさせるという。そしてその北梅田駅には阪急十三連絡線を開業させようという計画も立っているが、現状から察するに阪急が計画に口をはさんで優位に進めるための口実にしかすぎず、京都方面は京阪中之島線、神戸方面は阪神なんば筋線への乗り換えで事が済んでしまう。連絡線を建設する程であれば、中津駅から動く歩道を設置して中津駅は特急まで停車などの配慮をすればいいのではないだろうか。

このようになにわ筋線と乗り換え路線を見ていくと、共通項がみえる。それは、どの駅にも採算の良くない路線かつ遠距離まで運行する路線があるということだ。なんばの場合近鉄奈良線は賑わっているが阪神なんば線はスッカラカンの空気輸送、でも三宮まで乗り入れられる。地下鉄中央線は2025年大阪万博が行われる場合、施設として使われていた夢洲会場跡地に建てられる新しいパビリオンへのアクセス便利であるし、近鉄けいはんな線との直通でリニア中央新幹線の奈良県駅の候補地の1つである奈良学研都市にも向かうことができる。京阪中之島線もスッカラカンの空気輸送であるが直通列車を設定すれば京都方面まで直通かつ速達で行ける。このように、なにわ筋線は大阪を走る採算の取れない長距離路線を見事に結んでいるのである。計画当初は国鉄阪和線の大阪乗り入れ化、その後は単線かつ踏切のある東海道貨物線の線路容量緩和がメインのはずだったのに、いつの間にか数多の私鉄にカモにされてしまっているように見える。そして新快速の牙城である神戸・京都方面のアクセスを簡便にすることにより、JRから大阪ミナミ向け需要を奪う作戦に出ているのではないだろうか。

2. 南海本線は特急と空港急行の乗り入れが主体か

ここまでの情報を基に、南海列車のなにわ筋線乗り入れを予測していく。南海高野線列車の多くは原則既存の地上なんば駅乗り入れになるものと思われるため、なにわ筋線への乗り入れは南海本線が基本になるのであろう。
現状、南海本線の昼間及び平日夕ラッシュ時を走る列車は以下の通り(特記無ければ双方共通)。
  • 特急「ラピート」毎時2本
  • 特急「サザン」毎時2本
  • 空港急行毎時4本(ただし平日夕ラッシュ時は2時間に1本程度区間急行に置き換え)
  • 急行毎時2本(平日夕ラッシュ時のみ)
  • 普通毎時4本(平日夕ラッシュ時は毎時6本)

以上となっており、昼間は合計毎時12本、平日夕ラッシュ時は毎時14本の列車が運行している。とはいえなにわ筋線は南海空港線同様JR西日本と設備を共有して運行するため、線路容量が限られる。そのため短距離の普通列車は南海新なんば折返しが濃厚で、平日夕ラッシュ時に運転される和歌山市方面急行も南海新なんば始発となるのであろう。残るは「ラピート」「サザン」空港急行の3つであるが、この3つはどれも捨てがたい。空港急行は実質南海本線の中距離輸送のほぼすべてを担っており、JR北海道の快速「エアポート」のように関西空港アクセスだけではなく南海本線沿線の人々を乗せている。特急「ラピート」も関西空港アクセスという点では重要な列車だ。残る特急「サザン」は、1999年5月のJR阪和線の紀州路快速による大阪乗り入れによる直通アクセス向上で大きく輸送人員を落としている。その落ち込んだ需要を奪い返すためには南海「サザン」が梅田へ乗り入れることが必要であろう。以上を踏まえると、南海なにわ筋線に乗り入れる列車は、昼間から平日夕ラッシュ時まで共通で
  • 特急「ラピート」毎時2本
  • 特急「サザン」毎時2本
  • 空港急行毎時4本(ただし平日夕ラッシュ時は2時間に1本程度区間急行に置き換え)

の合計毎時8本となるのではないだろうか。

2.1. 停車駅はどうなる

毎時8本運行されるとしても、それらの停車駅はどうなるのであろうか。各駅に停まる種別は必要だから、南海空港急行に担ってもらう他なかろう。特急については「ラピート」「サザン」ともに座席指定車があり、それなりの発券設備が必要となる。西本町は通過であろうが、京都方面にも行ける中之島も通過にするのだろうか。神戸方面に乗り継げるなんばはなんば自体が繁華街であるが、中之島は梅田のはずれであり、中之島だけで需要をとるのは難しい。となると特急「ラピート」「サザン」は北梅田から南海新なんばまでノンストップになるのであろう。

2.2. 南海高野線の直通はごく一部か

では南海高野線は全く直通しないのであろうか?急行や区間急行、準急行は絶望的であるが、特急ならどうだろう。高野山へのアクセスに用いられる特急「こうや」であれば、近鉄名阪特急が大阪難波乗り入れするのと同様梅田乗り入れをして需要喚起を図るのには効果的に行える。特急「こうや」は大運転を行う必要があるため1両17m級車両であるりドア位置が合わないが、なにわ筋線はJR車両が20m級、南海車両が21m級でありすでにドア位置が一致しておらず、いわゆる一般的なホームドアの設置は難しい。そのため、ドア位置に関係なく直通できる、また運行本数平日4往復および土休日7往復と少ない特急「こうや」は梅田まで乗り入れが可能になるのではないだろうか。そのほかの特急「りんかん」「泉北ライナー」は通勤ライナー要素が強いのでなんば発着のまま維持であろう。

3. 南海の新大阪乗り入れはあり得るのか

また一部報道によれば、南海線列車を新大阪まで乗り入れさせてほしいという要望が出ている。新大阪は東海道・山陽新幹線に乗り継ぐことのでき、将来的にはリニア中央新幹線や北陸新幹線の乗り入れも想定され、まさに大阪の玄関口という様相をしている。なんば~北梅田間はJR西日本・南海ともに第二種鉄道事業者として運営するが、北梅田~新大阪間はすでに東海道貨物線としてJR西日本が第一種鉄道事業者として運行しているし、新大阪にはすでにJR特急「くろしお」「はるか」が運行されている。そこにもろ敵対する南海特急「ラピート」「サザン」を乗り入れさせるであろうか?今回の南海の要望は、宣言しておけば後々有利なカードとして使える可能性を残すためのものではなかろうか。

4. なにわ筋線開業による他私鉄・地下鉄路線への影響は

今回のなんば筋線の開業により他の私鉄・地下鉄路線とも結ばれることから、その他の路線についても考察していく。

4.1. 近鉄奈良線・阪神なんば線

なんばで接続する近鉄奈良線・阪神なんば線であるが、近鉄奈良線についてはすでにJRよりも優位であり奪う需要が少ないこと、阪神なんば線については空気輸送のため増発はほとんど行われないものと思われる。せいぜい近鉄奈良~阪神尼崎間での快速急行の増結程度であろう。

4.2. 地下鉄中央線

西本町で接続する予定の地下鉄中央線であるが、乗り換え距離が遠いこと、奪う需要がないことからこちらも増発の見通しは低いものと思われる。

4.3. 京阪中之島線

京阪については2008年の開業時中之島発着の快速急行を昼間は毎時2本、平日夕ラッシュ時は最大毎時5本(うち出町柳行き毎時3本)運行していたことから、中之島~出町柳間の優等列車が昼間は毎時2本、平日夕ラッシュ時は毎時3本程度設定される可能性がある。今の中之島線が空気輸送にも程があるレベルなのでその分普通列車を淀屋橋に乗り入れに振り替えて中之島線内は削減する可能性は大いにあるものと思われる。

4.4. 地下鉄御堂筋線

最後に南海線から梅田へ向かう際に用いられる御堂筋線である。路線が並行しているため御堂筋線の利用者数が減ることは間違いないのだが、現状でも昼間含め混雑が慢性化しており、本数維持のまま混雑緩和を目指すのが先決であろう。また2015年3月1日のホームドア設置による停車時間増加による平日朝ラッシュ時の減便で混雑率を10%増やし、大阪では異例の150%超えをしている。ここはなにわ筋線開業後でも本数を据え置くのではないだろうか。

5. 結び

2031年に予定されている南海なにわ筋線の開業では、大阪周辺の鉄道各線の勢力図にいたるところで変化が起きそうだ。今後どのようなダイヤが作られてゆくのか楽しみにしたい。

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